2008年03月03日

「プレミアム」について。

 過日、東洋経済オンラインで『遠藤功のプレミアム戦略』()という記事を読んだ。

 内容を、私なりにかなり乱暴にまとめさせていただくと、
「プレミアムとは、通常のブランディングより遥かに高い位置にある、ぶっちぎりのブランディング」
「切り詰めたコストを積み上げた価格設定ではなく、先に価格を決めて、それに見合う高いレベルのものづくりと、イメージづくりなどの戦略を行なうこと」
「日本の(一部の)ものづくりも、そうあるべきだ。でないと、欧米先進国のような高付加価値のものに追いつかず、新興国には追い抜かれて負ける」
ということらしい。

■工業化に、ちょっと先んじただけ?

 これを読んで、私は、
「しかし、日本のものづくりで、そんなことができるのかなあ…?」
と思った。
(イヤ、「できるできない」ではなく、やらなきゃ勝ち残れない、という話だというのは、解っているのだが)

 欧米のように、歴史や文化その他により、国のイメージじたいに「プレミアム感」が漂うわけではなく。
 それでいて、新興国のような、がむしゃらさは、もうない。
 日本なんてしょせん、他のアジアの国より、ちょっと先に工業国になれただけの国じゃないか。と、ちょっと卑下してみたり。

■ポルシェ、フェラーリ、トヨタ

 たとえば、記事中に、ポルシェの例が出てくる。
 遠藤氏は、ドイツの同社ドライビング・サーキットでの体験を語っている。

 私も国内で、ポルシェに何度か同乗させていただいたことがある。公道なので、もちろん時速300キロなんて出ないのだが、確かに、あの加速感は、車シロートの私ですら、「さすが」と感じた。

 一方で、たとえばトヨタ車に同乗させていただく機会も多い。
 その時の感想は、やはり、「乗っていて疲れない」「ずいぶんいろいろ便利な機能がついてる(車種やオプションにもよるのだろうが)んだなあ」とか、そういう感じだ。
 良い悪いは別として、大げさにいうと、日本車というか、日本のものづくりを象徴している気がする。

 また、以前、村上龍がエッセイに書いていた話を思い出した。
 F1レースのフェラーリ・チームで、エンツォ・フェラーリが存命中のエピソードだ。

 レース中、車両に不具合があり、
「だましだまし、ゆっくり走れば完走はできそうだが、優勝は望めない」
「無理して飛ばせば優勝できそうだが、途中でリタイアする可能性は高い」
という状況になった。
 スタッフ全員が、「どうします?」という感じで、エンツォ・フェラーリを見た。彼はすかさず言った。
「われわれは、イタリア人だろう」
 その瞬間、「後先気にせず、とにかく飛ばせるところまで飛ばそう」と決まったそうだ。

 そのエピソードを紹介したうえで、村上は、要旨、次のようなことを書いている。
「これが『われわれは、日本人だろう』と言ったら、どういう意味になるのだろう。『会議をひらいて慎重に決めよう』か?」

■欧米コンプレックスは過去のものか

 一方で、
「欧米(ブランド)には、かなわない」
という私の価値観は、一定以上の年代の日本人だけが持っているんだろうか。と思うこともある。

 たとえば、先日、若い人(といっても30代前半)と、
「もし何でも買えるとしたら、クルマは何を買うか」
みたいな雑談をしていた。

 その人が、
「俺だったら、レクサス」
と言ったので、私はビックリした。
 私だったら、それくらいのお金を払うなら、ジャガーとかベンツを買うと思う。
 そう言うと、その人は、
「あー、なるほど…」
と言いつつも、淡々と、レクサスの良さ、すごさをいくつか挙げてみせたのだった。

 一定以下の年代の人にとっては、どこの国のものかはあんまり関係なくて、自分にとって良いものは良い、好きなものは好き、ということなんだろうか。
 もしそういうカスタマーが(国を問わず)増えてくるならば、良いものを誠実につくることのできる日本に、勝機(商機?)はあるのかもしれない。と誇らしげに思ってみたり。


posted by 田北知見 at 18:19 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 〜について思ったこと
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