2007年8月4〜12日に行った、モンゴル旅行の印象記。
第1回と第2回から、間があいてしまったが、今回は3回目だ。
■ 騎馬隊イベント
モンゴル建国800年記念イベント『チンギス・ハーン 800年目の帰還』を観た。
チンギス・ハーンの時代の騎馬隊を再現したもので、数百人(数百騎)の騎馬隊が出演し、寸劇や、実際の戦闘を再現して見せるショーだ。
会場は、草原。
舞台を設営するのではなくて、客席を設営し、見渡す限り広がる草原で、数百騎が、戦闘や寸劇を行なう。
そして、騎馬隊に扮しているのは、モンゴルの、本物の軍人さんたちだ。
いやもうド迫力。
登場の場面では、遠く丘の向こうから、騎馬武者が列をなしてやって来る。
その数、数百。たぶん、日本の大名行列よりも長い。
その1人1人が、モンゴル式のよろいかぶとに身を固め、3歳の時から馬に乗り、弓を引き、ナイフや剣を使い、モンゴル相撲で鍛えている、一騎当千のつわものなのだ。
模擬戦闘や、ワザ比べの実演もあったのだが、その強さはハッキリ分かった。
〈騎馬+弓矢=すごい〉
開演前に、会場で、来場者が、お金を払って弓矢を引かせてもらえるコーナーがあり、私も引いてみた。
弓はすごく重い。(弓自体に重量があるという意味ではなく、引くのに力が必要ということだ)
矢は何メートルかを飛ばすのが精一杯だ。
前述した、ナーダム会場の模擬実演では、
「弓を1回引くのは、数十キロの物を持ち上げるのと同じくらいの力を使う」
と説明していた。
乗馬も、大変だし難しい。
私は今回の旅行で、2度、馬に乗る機会があった。
そのうちの1度は、デコボコの山道だったので、馬はかなり上下して揺れた。そして乗る人が、うまく動きを合わせないと、馬の背(鞍)と、人の尻がガツンガツンぶつかることになる。
その状態で長時間乗っていると、尻の皮(人間のほうの)が破れて、大ケガになることもあるそうだ。
それを避けて、鞍に座らずに、腰を浮かして鐙にふんばっていると、今度はヒザに負担が来る。私はヒザがガクガクになった。
同じツアーのほかの人は、腿やスネに力を入れて、鞍をグッとはさんでいたら、翌日は腿とスネが筋肉痛になったそうだ。
また、馬は走っているわけではなく、ただ歩いているだけなのだが、それでもかなり揺れて恐ろしい。落馬しないように、手綱を離さないのはもちろんのこと、鞍の前後についている手すりをしっかり握っていた。
それを、騎馬武者たちは、走る馬に乗りつつ、両手を使って弓を引いたり(しかも、正確に、遠くの敵に向けて射る)、剣や槍でチャンバラをやるわけだ。
チャンバラなんて、地上に足をつけていてさえ、力やワザが必要で、動体視力や反射神経も必要だし、スピーディに動かないといけなくて、大変なのに。
すごい。
〈騎馬民族のすごみ〉
しかも、馬って、すごく速い。
広い草原で見ていると、あまり感じないが、それでも、地平線や丘の向こうに、姿が、
「あ、見えた」
と思う間もなく、ガーッと近づいてくる。
それも、一騎当千、命知らずの、血も涙もない、遊牧・騎馬民族の皆様である。(と、皆で協調して田や畑をつくり、極力ケンカしないように生きている農耕民族からは、そう見える)
すごく怖い。
「こんな人たちに襲われたら、農耕民族はひとたまりもないな」
と、実感した。
彼らを防ぐために、万里の長城みたいなグレイトなものを造らないといけなかったのだ。月からだって見えちゃうような、すごい建造物だよ?
イヤ、もちろん、騎馬武者、すごくカッコいいんだが。
■馬頭琴コンサート
民族音楽のコンサートも聴いた。
これは旅行会社主催の小規模なものだが、モンゴル国立馬頭琴(ばとうきん)交響楽団のメンバーによる、レベルの高い演奏や歌が聴けた。
〈馬頭琴〉
馬頭琴はモンゴル特有の弦楽器だ。
バイオリンや、ビオラや、中国の二胡のような音がする。(すごく大雑把ですみません。同じ弦楽器なもので…)
胴は四角くて、バイオリンや二胡よりは大きいけど、セロよりは小さい。ヒザのあたりに置いて(はさんで)二胡やセロみたいに弾く。
私が聴いたコンサートでは、ほかの楽器と組み合わせて、10〜20人くらいで合奏をしていた。
そこは西洋音楽の合奏と同じで、第1バイオリンみたいな立場の人が、指揮者役となるようだ。
旋律は、アジア的な短調が多かった気がする。
でも、中国や韓国や日本の音楽のような、哀しげな感じではなく、もう少し、雄々しい感じ。
そして、ちょっと西洋クラシック音楽の、国民楽派の音楽を思い出した。たとえば、スメタナの『モルダウ』とか。曲として似てるというわけではなくて、「感じ」が。
厳しくて、でも雄大で美しい自然。
過酷な歴史、そして民族の誇り。
みたいなものを感じさせるのだ。上手く言えないけど…。
〈ホーミー〉
ホーミーもあった。
ホーミーはモンゴル特有の唱法のことで、独特の発声で歌ったり、1人の人が同時に2つ以上の音を出して歌ったりする。
私は10年くらい前に、大阪の国立民族学博物館のモンゴルイベントで初めて聴いた。
「どうやって、どこから、音を出してるんだ?」
と仰天した。
高音から低音まで、いくつかのパターンがあるのだが、低音は、たとえば日本の浪曲みたいな塩辛声。
あと、「ビヨヨヨヨ〜ン」って感じで響く変わった声や、高音では、口笛みたいな「ピー」って感じの音が出る時もある。
…うーむ…うまく説明できん…。
っていうか、目の前で見て、聴いていても、どこから声(音)が出ているのか、分からないのだ。
ホントに1人で歌っているの? って感じなのだ。
当時、なんだか不思議なものを見た・聴いたと思っていたのだが、今回、再び、ナマで見て聴くことができて、良かった。
〈大地の匂いが〉
10曲ほど聴いたのだが、そのなかで私は『アルタイ山脈を讃える歌』が気に入った。
合奏とは違って、ホーミーや鳴り物を含め、4人だけで奏でる、素朴な曲。
昼間の草原で、あるいは夜、ゲルのなかでストーブの火を囲んで、つれづれに演奏した、もともとのモンゴル音楽に近い形なのではないか、と勝手に想像した。
なぜか、アメリカのカントリー&ウェスタンを思い出した。
夜、サボテン砂漠で、カウボーイが焚き火を囲み、ギターやハモニカを演奏し、あのヨーデルみたいな独特の発声で歌う。みたいなシーンだ。
クラシック音楽でも、私はモーツァルトやショパンのような、パステルカラー(←あくまで私のイメージ)の美しい曲よりは、ゴツイ国民楽派が好きだ(というほど詳しくはないのだが)。
洗練されたものよりも、素朴で、大地の匂いがするほうが、好きなのかな。
しつこいですが(笑)、〈つづく〉
2007年09月10日
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馬頭琴の説明のリンクと共に想像してみましたが、私の創造の大きさでいいのか、ちょっと自信が持てません。「
そういえば、のだめカンタービレ」で小柄な学生がセロを背負って歩いているのを上の階から見て「セロが歩いている」という話がありましたね。
その想像をめぐらせる余地が残っているところがまた更なる旅情を誘います。
高校生の時にNHK特集でホーミーをやっていました。ユーミンが「私の声の質とホーミーの声の質は似ている」と言うような話をしていました。なるほどそうかもしれません。
もちろん自分でも練習してみました。
「い」と「ゆ」の間くらいの口の形で発声を少しずつ変えていくと、共鳴するところがあって、こんな感じなのか??と思っていました。
翌日、学校で何人かがホーミーごっこをしているのを見かけました。
次は「鷲が谷を飛んでいく」と言う歌です。ヴィ〜ヴィヴィ〜♪。
学友たちの研究心の旺盛さに「ばかだな〜」と思いました。