2007年09月03日

「援助」ではなくて

 先週末の『THE NIKKEI MAGAZINE』の特集テーマは、「ボランタリー」だった。

 ボランタリー(voluntary):自発的なさま、自由意志で行動しているさま。
 ボランタリズム(voluntarism):任意性、随意性。とくに福祉関係での個人の自発的な協力などについていう。

■「途上国のバッグ」ではなくて

 いくつかのケースが取材・掲載されていたが、そのなかで、私は、バングラデシュのバッグメーカーと、栃木県足利市のワイナリーのケースが印象に残った。

 前者は、日本人の山口絵理子氏が起業したバッグメーカー『マザーハウス』。
 バングラデシュの首都ダッカに工房を置き、東京都台東区に直営店と事務所を置いている。年商5000万円。

 成功のカギは、途上国製品にありがちな、「安かろう、悪かろう」ではなく、デザインも品質も厳しく追求し、「普通にかっこいいと思い、買って、よく見たらバングラデシュ製だった」という方向を目指した点だ。
 「援助で買ってもらう」のではなく、サステナブル(持続可能)なビジネスを目指した。

 しかし山口氏は順風満帆で来たわけではない。
 昨年、ダッカで政治暴動が起きた。暴動後、当時契約していた現地工場に行ってみると、人も、デザイン画も、渡しておいた材料も消えていたそうだ。

 その後、現在の現地パートナーの工房やスタッフたちを紹介されて、契約を結び、再び、一から始めたという。

 現在の現地パートナーの1人は、山口氏と組んで仕事をしようと決めた理由を、次のように言う。
「(山口氏は)普通なら足を踏み入れないような(ダッカの)工場街を1人で駆け回り、本当にバッグを作って、日本で販売した。しかも、前の工場でだまされても、まだ我々バングラデシュ人を信じようとしている。参った、と思った」

■「障害者のつくるワイン」ではなくて

 一方、栃木県足利市のワイナリー『ココ・ファーム・ワイナリー』。
 働いているスタッフのほとんどは、知的障害者だ。

 当初は、果物農園としてスタートしたが、市況などに左右される生鮮品に比べ、安定的な収益と再生産ができるので、ワイナリーにカジを切ったそうだ。
 品質を追求した点が、上記のケースとの共通点だ。

 同ワイナリーのスパークリングワイン『NOVO』は、2000年の沖縄サミットの晩餐会の乾杯に使われた。
 ソムリエの田崎真也氏の推薦で候補になり、最終選考では、ラベルを隠したブラインドテストで選ばれたという。

 ここでも、池上知恵子専務の言葉が印象に残る。
「知的障害者が造るワイン、ではだめ。同情で買うのは1回だけだから」

■援助ではなく、サステナブルなビジネスで自立を

 これで思い出したのが、「マイクロクレジット」。(同誌でもチラリと触れられている)
 バングラデシュ人経済学者のムハマド・ユヌス氏が同国グラミン銀行で創設した、貧困層を対象とした、低金利の無担保融資だ。
 2006年には、同銀行と同氏は、「底辺からの経済的および社会的発展の創造に対する努力」で、ノーベル平和賞を受賞した。

 途上国援助のNPOの広告で、
「食べ物をもらうのと、食べ物の作り方を教えてもらうのは、かなり違います」
というようなコピーを見たことがある。
 以前から書いているけど、私も、そう思う。


posted by 田北知見 at 17:39 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | あの業界!こう見る
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

HD012 アングラーズハウストートバッグ WAL
Excerpt: とにかく使い勝手がいいですね。物忘れの達人に異変がおきました。●○●ケイタイポケットについて●○●外側に携帯入れがありますよね?「落ちちゃうのかなあ?」と心配だったんです。でも、結構きつきつな感じで、..
Weblog: バッグ・ケースの感想
Tracked: 2007-09-11 19:23

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。