2007年07月10日

外資系ファンドと、「鎖国復古」について。




■経緯

 報道によると、東京高裁は、米投資ファンド スティール・パートナーズがブルドックソース〈2804・東2〉の買収防衛策について、差し止めを求めた東京地裁の仮処分抗告に対し、きのう9日、申し立てを棄却した。

 スティールはかねてから、TOBにより、ブルドックソースの買収を図ってきたが、ブルドック側はこれに対応し、買収防衛策を6月24日の株主総会で提案。8割を超す賛成を得て可決された。

 スティールはこの買収防衛策について、
「株主平等の原則に反する」
などとして、東京地裁に差し止めの仮処分申請を行なったが、同地裁は6月28日に却下。
 スティールはこれを不服として、即日抗告を行なっていた。

■報道

 7月9日付け日経朝刊によると、高裁決定の骨子は次のとおり。

・ 株主総会で8割を超す賛成で可決された防衛策は、著しく不公正な方法ではない。
・ スティールは濫用的買収者と認めるのが相当というべきだ。
・ 不当な公開買い付けに対する防衛策なら、買収者を差別的に扱っても、株主平等原則には反しない。

 スティールをグリーンメイラーなどと同様の、濫用的買収者と定義したことがポイントだ。

一方で、同日付け同紙の社説にあるように、

「ファンド全般を好ましくない存在とする見方があるとすれば、短絡的すぎる」

「買収・防衛の是非は個々の事例ごとに論じられるものであり、ほかの企業の経営者は、防衛策の利用を安易に考えるべきではない。経営努力で企業価値を高めることが、本来の使命だ」

との指摘も妥当だろう。

 また、同紙の別の面には、
「今年の各社の株主総会は、おおむね個人株主はファンドの主張ではなく、会社側の主張に賛同したようだ」
「が、企業が個人株主の声を軽視するようなら、今後はどうかわからない」
「外資系ファンドのなかには、真剣に日本市場で受け入れられることを考えているファンドもある」
という趣旨の(と私には読めた)コラムも載っていた。

■ファンドの功罪←→鎖国が良いのか?

 確かに、外資系ファンドの動向は、株式市場を活性化させたり、企業に、あらためて株主の存在感を突きつける機会をつくったりしている。

 ファンドもいろいろで、上記の指摘どおり、すべてのファンドがグリーンメイラーということもあるまい。

 今回の判例(といっていいのか?)で、「投資鎖国時代に戻るのではないか」との懸念も指摘されている。
「外資や外国人投資家を排除するような日本市場に、魅力はない。となると、外資はもっと魅力のある他国へ流れてしまうのではないか」
との指摘だ。

 また、7月4日『会社は誰のもの?』でも少し触れたが、株式持ち合い復古の動きがあるのも事実だ。
 しかも、「持ち合い復古」が発表・報道された企業の株価は、上がっている。
 日本市場は、あるいは、日本の投資家にとっては、
「やはり、むかしどおりの鎖国状態が、ぬくぬくして心地良い」
ということなのだろうか。

■取り入れるべきところと、排斥すべきところ

 話は飛ぶが、いまの日本人って、外国人や外国のものに対して、
「無批判に、すべて受け入れる」(アメリカとか)
か、
「その国の文化その他を完全に否定して、日本式を押し付ける」(むかしのアジアの植民地とか)
か、どちらか一方の、両極端なように、私には見える。

「良いところや学ぶべきところは取り入れて、尊重すべきところは尊重し、迷惑な部分(グリーンメイラーとか、犯罪者とか)は排斥する」
というやり方は、できないのかなあ。
「ヨソのやり方を上手く取り入れ、自分流にアレンジする」
のは、日本人の得意とするところじゃなかったのかな。と、いつも思う。


posted by 田北知見 at 17:49 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | あの業界!こう見る
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