2007年07月04日

「会社は誰のもの?」
2007年株主総会シーズン・バージョン

 株主総会のシーズンがほぼ終了した。
 もうすでに、旧聞に属する話題になってしまったが、今年は、
「株主提案とのタタカイ」
がテーマ(?)となった企業も多かったようだ。

 米投資ファンドのスティール・パートナーズから「狙われた」ブルドックソース〈2804・東2〉アデランス〈8170〉ブラザー工業〈6448〉等々…。

 また、モリテックス〈7714〉の株主総会では、大株主のIDEC〈6652〉が役員選任について株主提案を行なったり、TBS〈9401〉楽天〈4755・ジャスダック〉の攻防も話題になった。

 ほか、テン・アローズ〈9885・大証2部〉パトライト〈6825〉のように、
「創業家が強引に経営権を取り戻した」
と報道された企業もある。

 この手の話を見たり聞いたりすると、いつも、
「会社は誰のもの?」
という定番テーマにぶつかる。

 関連報道や識者の意見などを見ていて、いくつかのポイントが印象に残った。

■海外投資ファンドの「横車」に対する、
日本企業の「防衛」について


 ひとつは、投資ファンドの「TOBなどによる買収」や、「大幅な増配要求(株主提案)」に対する、会社側の防衛策だ。

〈事実〉
・ ブルドックソースの場合は、株主総会でも、とりあえず東京地裁の仮処分決定でも、同社側の提示した買収防衛策が支持された。

・ また、ブラザー工業など、ほかの多くの企業の株主総会でも、おおむね、会社側の考え方、やり方が、ファンド以外の株主に支持されたようだ。

〈私の意見〉
・ とりあえずは、「黒船を撃退」したことになるのだろう。そういう見方をすれば、ご同慶の至りである。
 低レベルの話で恐縮だが、池田章子社長、カッコよかったっす。(笑)

・ そもそも、日本企業の多くは、日本人の経営者・従業員・顧客の努力により、技術、社会的な(海外含む)信用、繰越利益、その他色々を築いてきたのだ。
 たまたまカネがあり、「外国の企業を利用して、自分たちのカネを殖やしてやろう」としか思っていない(ように、一般的には言われている)ヤツらの餌食にされてたまるか。

・ ――と、多くの人が思っているようだが、私もそう思っている。

〈識者の意見〉
・ 一方で、たとえばブルドックソースの「スティール撃退」策に、疑問を呈する声もある。

・ もちろん、スティールのウォレン・リヒテンシュタイン代表らは、今回の株主総会と東京地裁の決定については、
 「日本の株式市場に対する海外投資家からの不信を招き、日本企業への投資にも悪影響を及ぼす」
とコメントしている。

・ また、ブルドックソース側の対応についても、ほかの株主や、識者からは、次のような意見も出ている。

「スティール『撃退』のための『手切れ金』に23億円も使うのは、いかがなものか。もっとほかの手法はなかったのか」
「株主を『区別』するという手法は、いかがなものか。今後、経営側が恣意的に株主を区別・排除することになりはしないか」

〈もういっちょ、私の意見〉
・ 今回は、おおむね「撃退」できたようだが、今後はどうだろうか。

 話は飛ぶが、うちの地元 長州(山口県)で、100年以上昔の幕末に、「攘夷論」が流行ったことがある。攘夷とは、
「夷(エビス=野蛮な外国人)を打ち攘(はら)う。開国・通商に反対する」
という考え方だ。

 で、1863年のある日、馬関(下関市)の海辺に築いた砲台から、海峡沖を航行する、外国商船へ向けて大砲をぶっ放した。
 商船は、なんとか逃げ切ったらしい。
 当時の長州人たちは、「攘夷戦争に勝った」と大喜びしたそうだ。

 しかし、翌1864年。米英仏蘭の4ヵ国の軍艦17隻・兵5000人の艦隊が、馬関を襲撃。長州側は敗戦した。
 いまでも、下関市前田地区の砲台を、外国兵が占領した当時の写真が残っている。
 また、前田砲台跡は、いまも残っている。(碑があるだけの、草ッ原だけど)
 講和交渉が成立したものの、あやうく、市内にある島『彦島』は、租借地になるところだったらしい。もしかしたら、香港みたいになってたかも。

・ どうか来年、外国ファンドが「艦隊」(理論武装や、政治的圧力など)を連れて戻って来ませんように。(笑)

〈もいっちょ、識者の意見〉
 きょう4日付の日経朝刊『大機小機』欄に、要旨、次のような内容のコラムが載っていた。
 (私が抜き書きした内容なので、もしかしたら筆者の趣旨と違ってるかもしれません。その場合は、すみません)

・ 企業買収ルールは、たとえば英国では、シティ(ロンドンの金融街)コードが存在し、ルールが詳細に定められている。なので、たとえばスティールも英国では日本でのような振る舞いはできない。

・ シティにも米国の金融機関が多数進出しているが、そのルールを米国型にせよと主張する企業はない。

・ 日本は、資本市場が未整備だから怪しい株主が出現しやすい。しかも新会社法は世界でまれに見るルーズな法律だ。日本のルールの、水準の低さを熟知するファンドなどにとっては、天国のような状況だ。

・ 米国ルールが(日本の)株主総会で通用しているのだ。何たるお人よし、と言う他はない。

■国内企業どうしの「株主提案」や
TOBなどによる「買収」攻防戦


〈事実〉
 楽天とTBSとか、いろいろ。以上。(笑)(←テキトーで、すみません。すでに専門紙誌や情報サイトなどで、たくさん報道されているので、ここで屋上屋を重ねることもなかろうかと…)

〈私の意見〉
・勝手にやって。以上。(笑)
・ ただ、心配なのが、最近、「持ち合い」復古の動きがある点だ。

〈識者の意見〉
・ これについて、やはりきのう3日付け日経朝刊コラムで、
「持ち合いで株主権を封殺した(昔の日本の)法人資本主義は異様だが…」
と指摘されている。

・ これに関連して、「従来の、日本独特の資本主義」や、「株主総会の性質」が、変わってきたという指摘も多数あった。

■創業家の世襲・同族経営について

〈事実〉
・ 株主総会に限らず、この1〜2年、創業者一族の「世襲」や同族経営の功罪について、いろいろな会社の不祥事に関連して、報道・指摘されていた。

・ 今年の株主総会で話題になった1社として、テン・アローズがある。女子バレーボール元日本代表の三屋裕子氏が社長を務めていたが、株主総会で、創業家の再任案修正動議で他の取締役とともに解任された。

・ また、報道によると、大日本印刷〈7912〉の「世襲制」について、大口株主の米ファンドが「企業統治に疑問」として、来年の総会で改善要求を強める考えだと伝えられている。

〈私の意見〉
・ 創業家の世襲や同族経営は、「安定」という意味では良いのだろうが……うーむ…という感じだ。中小企業で、けっこうイヤな例を見ているので…。

・ 地元で、鉄鋼加工関係の小さな工場(といっても、地元では中堅企業)を経営している一族を知っている。その会社では、一族で社長以下の役員を占めている。

 一族の人たちは、高い年棒を取り、車はベンツ。家は何軒も持ち、あたりの地所をどんどん買っている。高いお店で札ビラを切り、キンキラキンなアクセサリーを(一族の男性も)つけている。ハワイにコンドミニアムを持っている。

 一方で、社員さんたちの給料は安い。役員さんが「気に入らない」と言うと、土下座して謝らければならない。土日に出勤する時もあるが、その時の手当ては、1時間500円のみだ。なので、皆、あまり休日出勤はしたがらない。当然だ。

 しかし、役員さんに言わせると、
「ウチの社員は、ホントに怠け者なんだから」
ということになる。

 まあ、これは極端な例だが…。でもこの会社、実在します。まじで。(笑)

〈ほかの人の意見〉
・ ウチの社内のベテランで、株だけでなく、企業の上場準備や財務にも詳しい人がいるのだが、その人はよく、
「経営権を手放したくないなら、株式を上場しなければいいのに」
と言う。

■会社は誰のもの?

〈私の意見〉
 会社は誰のもの?という疑問に対する答えは、いろいろあるだろう。

 私自身は、そこで働く人と、その会社の製品・商品・サービスを求めるユーザーや消費者のためだと思う。

 もちろん、起業する人は、立派だと思うし、大変だと思うので、創業者本人や一族が、創業者利益を求めるのはわかる。
 また、株主さんが、
「大事なお金を賭ける(?)のだから、ちゃんと還元してほしい」
と言うのも、わかるが・・・。

〈識者の意見〉
 以前、日経夕刊のコラムで、日本の大学教授が、経営学者ピーター・ドラッカーの理論を踏まえ、次のように指摘していた。
(私が抜粋&まとめたものなので、筆者やドラッカーの趣旨と違っているかもしれません。その場合は、すみません)

・ 株主中心主義による会社統治、たとえば投資ファンドのやり方では、企業の持続的な発展を阻害する可能性が高い。
・ 社員中心主義は、内部指向の自己満足に陥り、社内政治を増長させる危険性がある。
・ 顧客中心主義ならば、顧客との相互作用のなかで、双方が進化していくことが可能だ。
・ 会社が、社会的に善い目的を掲げた時に、社員を内面的に動機づけ、グローバルな市場競争力を高め、知識創造とイノベーションを促進することができる。
・ その帰結として、その会社は競争優位を持つことになり、結果的に、株主へ利益が還元される。

――という内容だ。
 私としても、このあたりが落としどころかな、と思う。

 これは、近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)じゃないか。なんだ、日本人は何百年も前から、適正な儲けと社会貢献・信頼を両立させる商売をやっていたのだ。と思った。


posted by 田北知見 at 17:43 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(1) | あの業界!こう見る
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