2007年05月09日

ジョー・R・ランズデールの小説
『サンセット・ヒート』を読んだ。

 先日、ジョー・R・ランズデールの小説 『サンセット・ヒート』 (北野寿美枝 訳)を読んだ。

 ゴールデンウィークのうちの1日かけて、一気に読んだ。
 というか、そうするつもりはなかったのだが、題名どおり、ストーリーも読み手も、ヒートアップしてしまい、ノンストップで読んでしまった。
 ハードカバーを、一気読み。ぜいたくな時間の使い方だ、と思った。(←そんなことで「ぜいたく」言うな、と笑われそうだが…w)

■ミス・サンセットと、ハップ&レナード シリーズ

 小説の舞台は、1930年代のアメリカ・テキサス州。
 主人公は、タフな赤毛美人、通称「サンセット」。

 ミステリーというか、サスペンスというか、ウェスタンというか、セックス・アンド・バイオレンスというか…。まあ、そんな感じの小説だ。
 とにかく荒っぽい土地柄、女性と黒人には人権が全く無い時代を背景に、殺人あり(多数)、殴り合いなどの暴力シーンあり(多数)、ケモノ並みの本能ムキダシ男女間のいろいろがあり…。まあ、そんな感じの話だ。

 私はそういう小説は好まないので、普通ほとんど読まない。
 でも、ランズデールの作品なので、読んでみた。

 ランズデールの、『罪深き誘惑のマンボ』をはじめとした、ハップ・コリンズ & レナード・パイン(←主人公と、その相棒の名前)シリーズが、すごく好きなので。
 これは現代ものなのだが、やはり、すごく暴力的で、すごくお下劣、エログロ、ゲロゲロな小説シリーズだ。また、「政治的に正しくない」ジョークが、バンバン出てくる。そして、かなり笑える。
(ランズデール作品はほかにもあるが、私の好みではなさそうなので、読んでいない)

■主人公への好感と共感


 上記のシリーズと、『サンセット・ヒート』に共通する、いくつかの点がある。そこが、私は気に入った。

 ひとつは、登場人物が平等に悲惨な点。

 たとえば、女性や黒人がバカにされ、ものすごく侮辱されたり、酷い目に遭うシーンが、バンバンえがかれているのだが、だからといって、白人男性の登場人物が優遇されているかというと、そうではない。彼らも、貧困にあえいでいたり、きつい肉体労働で過酷な目に遭ったりしている。
 そうしたことに無縁の、いわゆる勝ち組の白人男性は、ほとんど出てこない。

 もうひとつは、主人公に好感と共感が持てる点だ。

 サンセットは、私から見れば、ある面では、ものすごく頭が悪い。(自分のことは棚に上げて言いますが…)
 私から見ると、
「なんでDV(ドメスティック・バイオレンス)夫の言いなりになってたんだよ…?」
とか、
「なんでそんな、顔がいいだけの男に、簡単に騙されるんだ…?」
と、歯がみする思いだ。

 でも、本人なりに、すごく一生懸命なのだ。ストーリーを追うごとに、強くなっていくし。
 冒頭、サンセットが、DV夫を撃ち殺すところから話は始まる。
 その後、別の男が彼女を殴りそうになった時、彼女は銃を構えて、
「もう二度と、男に殴らせるつもりはないのよ」
と言う。
 カッコ悪いのだが、カッコいい。そういうところに、好感と共感が持てるのだ。

 一方、ハップは。

 白人男性だが、客観的には、完全に負け組だ。
 いい歳をして(確か40代)、手に職どころか、定職にすら就いていない。女性にもあまりモテない。腕っぷしだけは強くて、銃の腕はそうとうだ。ケンカっぱやくて、何かというと乱闘になってしまう。

 でも、基本的には、すごくいい人なのだ。
 困っている人を救おうとしたり。(そのせいで揉め事に巻き込まれ、ストーリーが展開していく、というパターンも多い)
 女性にフラれても、「あ、いやあ、そんな予感はしてたんだ」みたいな感じ。

 相棒のレナードから、
「おまえは、うっかり虫を踏んづけたとしても、罪悪感を覚えるタイプだよな」
みたいなことを言われて、よく、からかわれている。

 そして、サンセットもハップも、基本的には、いい人なのだが、必要に迫られて(?)、一生懸命、闘っている。しぶとくて、タフ。良くも悪くも、アメリカ的。
 そこが好きだ。


posted by 田北知見 at 14:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | よいこの読書感想文
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