2006年12月25日

マンガ『チェーザレ』を読んで、イタリア ネタ

 惣領冬実のマンガ『チェーザレ』1、2巻を読んだ。

 舞台は、15世紀、ルネサンス期のイタリア。当時の政治家、軍人であったチェーザレ・ボルジア(1475〜1507年)をえがいている。
 美しく緻密な絵と、専門家の監修も得た、かなり正確かつ詳細な時代考証が特徴だ。

 バティカンの教皇や枢機卿選挙の権謀術数がおもしろいし、コロンブスやレオナルド・ダ・ヴィンチといった歴史上の有名人が出てくるところは、やはりワクワクする。
 きちんと「人間」や「ドラマ」が、えがかれていて、歴史ものマンガにありがちな、あらすじ小説みたいな「通史解説に絵をつけたもの」ではないので、おもしろい。

■「祈るだけでは解決しない」に感動と共感

 私がいちばん感動したのは、チェーザレが、貧民街で、人々が、教会から施された残飯をあさるのを見て、腐敗した教会や聖職者を批判するシーンだ。
「教育や働く機会を与えずに、ただ施しだけを与えて『神に感謝せよ』とは!」
「その日の生活にも困っている人々に、『祈りなさい』としか言わない。そんなことで腹はふくれないし、暖かい寝床で寝ることもできない」
という意味のことを言う。

 私も、いつも、中世ヨーロッパのキリスト教や、日本の中世〜近世の仏教について書かれたものを読むたびに、思っていた。
「ただ祈るだけでは、事態は解決できないんじゃないか」
「人によっては、心の平安くらいは得られるかもしれないけど」
と。
 さらに、イスラム教も含めて、
「宗教の名のもとに、戦さや殺戮や残虐行為を行なった(行なっている)。宗教ってのは、人を救うためにあるもんじゃないのか?」
とも思っていた。

■以下、またまた美術ネタに走ります、すみません。

 もうひとつ、私のツボにグッと来たのは、美術関係だ。
 バティカンのシスティーナ礼拝堂。マンガに出てきた当時はまだ、ミケランジェロの天井画が描かれていなかったそうだ。

 私は2年ほど前に、システィーナ礼拝堂の天井画を見た。すでに修復が終わっていて、描かれた当時の鮮やかな色などが再現されていた。
 ミケランジェロらしく、もともとかなり肉感的で重厚感がある絵なのに、さらに、鮮やかな彩色の生々しさ。これは……。確かに、当時の僧たちが、
「肉感的すぎる」
「ハレンチだ」
と批判した(イヤ、そういう言葉は使っていないと思うが、まあ、そんなニュアンスってことで…w)のも、わかる気がした。

 さらに、その旅程のなかで、別の日に行った、フィレンツェの美術館で、納得のダメ押しがあった。

 ひとつは、ウフィッツィ美術館で、有名なボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』や『春』をはじめとした、ルネサンス絵画を見た時だ。
 確かに細部はリアルなのだが、その後の17世紀フランドル絵画など、もっとリアルな絵を見慣れている目には、人体のバランスがちょっと変だったり、ポーズが不自然だったりした。

 別の日に行ったアカデミア美術館(だったと思う)で、納得した。
 同美術館には、もちろん、ミケランジェロのダビデ様(笑)がお目当てで行ったのだが、ビザンチン様式の宗教画がたくさんあった(記憶違いだったらすみません、なにせ、美術館、いっぱい行ったので…w)。

 ビザンチン様式の宗教画って、イコンに代表されるように、かなり様式化されていて、私の好きな青池保子のマンガ『エロイカより愛をこめて』では、登場人物が「死後硬直の人を描いた絵」みたいな悪口を言っているくらいだ。

 それを大量に見た時に(日本では、いちどきにゲップが出るほど見る機会はないので)、
「ああ、こんな絵を見慣れていた当時の人たちにとって、ルネサンス絵画は、充分、リアルで衝撃的だったんだろうな」
と納得できたのだった。


posted by 田北知見 at 18:44 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | よいこの美術鑑賞
この記事へのコメント
>qRkhT%[, boin.ex-navi.biz, 巨乳美容師, http://boin.ex-navi.biz/shiroto/11.html
Posted by 巨乳美容師 at 2011年10月05日 00:23
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