2006年08月10日

「ヒロシマ」について。

 10年以上前、アメリカに旅行に行った際、時々、
「やあ、どこから来たの?」
と声をかけられた。当時はまだ、そういう、気さくなアメリカ人が存在したのだ。
 そのたびに私は「トーキョーから」とか、「ヤマグチ出身だ」とか答えていた。
 一度、「ヤマグチってどこにあるの?」と訊かれて、
「ヒロシマの近く」
と答えたことがある。すると、相手の表情が微妙にこわばった。私は、
「あ、この人は『ヒロシマ』について知ってるんだ」
と思った。

 でも、どんな風に知っているのか、本当に知っているのかは分からない。

 20年くらい前、アメリカのドラマで、戦争が勃発してアメリカ本土に核爆弾が落とされる、という内容の作品を見たことがある。
 そのドラマでは、もちろんほとんどの人が死ぬのだが、シェルターとかで生き残った人々は、被爆して数日後にはもう、死の灰で真っ白になった大地を耕していた。(死の灰が白いところや、雪のように大地を被っているところからして、すでに考証が間違ってるのではと思った)
 雄々しいフロンティア・スピリッツは大いに結構だが、ドラマを見ていた私は、
「そんなことをしたら、すぐに死んじゃうのに…」
と、ビックリした憶えがある。
「アメリカ人って、そんなことも知らないんだ…」
 ドラマの制作には何十人、何百人もの人が関わっただろうし、アメリカでは何百万人、何千万人もの人がそのドラマを見たと思うのだが、誰も疑問を差し挟まなかったのだろうか、と呆然とした。
 アメリカ人の、核爆弾や放射能の恐ろしさに対する無知さ、能天気さに、あいた口がふさがらなかった。

 被爆の恐ろしさは、今なお続くチェルノブイリの惨状からも分かる。

 6年ほど前の2000年、ちょうど9.11テロの直前のころに、ハワイへ旅行した際、パール・ハーバーに行った。
 1941年に日本海軍が行なった真珠湾攻撃について、資料館と、当時撃沈された軍艦がそのまま保存されてメモリアルになっており、
「卑劣なジャップが卑怯な奇襲攻撃をかけた」
ことをPRしている所だ。(冗談です、すみません)
 私は、そうした史料や当時の映像を交えたフィルム上映を見ながら、
「うーむ、さすがにアメリカはアピールが上手い」
などとムカムカしていた。普段は戦争ぎらいの私も、やはり日本人としてはおもしろくなかった。トイレの壁にでも、
「Uncle Sam's Atom Bomb Killed 400,000Japanese!」
と落書きしてやろうかと思った。もちろん、やらなかったけれど。(っていうかこれ、文法的に正確なんだろうか。英語はサッパリなのだ。)
 それに、これは私の八つ当たりだ。ヒロシマとナガサキで40万人の日本人を殺したからといって、真珠湾の空爆で亡くなった数千人のアメリカ人が生き返るわけではないからだ。そしてもちろん、その逆もありえない。


posted by 田北知見 at 10:56 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 〜について思ったこと
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